補聴器でも一部のメーカーにしか搭載されていない両耳間音声通信技術がナイーダ CI には搭載 されています。両耳間音声通信技術は全帯域幅をリアルタイムで双方向にストリーミングして 音質を向上させ、言語の認識を可能にするフォナ ック特有の機能です。 この独自の技術が、ステレオズーム(一般的な指向性をより鋭くしたもの)、デュオフォンといった プログラムや機能を可能にしています。
AB 装用者に対して図 1 のような装置を用いた聞こえについての研究が行われています。 この研究は適度な反響音のある部屋で、被験者の正面から音声を流し、他の 7 つのスピーカーからはノイズ(雑音)を 65dB で流してマイクや機能の違いによる聞き取りを比べるものです。
図 1:ナイーダ CI の試験設定
結果はウルトラズーム、ステレオズームを使用した場合、雑音下での語音聴取に著しい改善が見られました。ステレオズームを使用するとT- マイク2のみ使用した場合と比べて語音聴取閾値が5.5dB改善し、無指向性マイクのみ使用した場合と比べると6dB改善することが分かりました。
S/N 比※を 1dB 向上させると、人工内耳 装用者の語音聴取が 15%向上することが 発表されています。(Hey ら 2003) したがってこの研究で語音聴取閾値が 6dB 改善されたことはステレオズームが 利用できる AB 装用者にとって 大きなメリットになります。
※信号(言葉)と雑音の比率のこと。